水虫が重症化するまでの道のり
水虫は長い時間をかけて足の裏を占領していきます。重症化するほど白癬菌に侵されていく場所が増えていきます。水虫が重症化する過程を知ると、「これくらいなら大丈夫。」とは思えなくなりますよ。
白癬菌が付着して症状が現れるまで
まず、知っておかなければならないことは、水虫の原因菌である白癬菌はどこにでも付着しているということです。
50代の約3人に1人は水虫に感染していることが分かっています。これほどたくさんの人が水虫に感染しているのですから、人が集まる場所には必ず白癬菌がいるのだと考えていた方がいいでしょう。
何かの拍子に白癬菌が皮膚に付着し、一定の時間が経つと白癬菌は皮膚の角質層を溶かして角質層の中に侵入してきます。角質層に白癬菌が入り込んだ時点で感染が成立します。
白癬菌に感染したからと言ってすぐに症状があらわれるとは限りません。白癬菌が角質層に入り込み、季節が梅雨を迎え湿度と温度が上がってきたときに、白癬菌が活動をはじめ、症状があらわれるのです。
水虫の急性期
白癬菌が活動を始めた時期を、「水虫の急性期」といいます。
白癬菌の活動を始めると、身体の免疫機能が反応し、白癬菌と闘い始めます。この時に身体に起こる反応によってかゆみや皮膚の剥がれ、発赤、水疱などの症状があらわれるのです。
急性期を過ぎるとどうなる
水虫の急性期は免疫機能が活発に働いているので白癬菌を退治するチャンスなのですが、有効な治療を行わないでいるとやがて症状は自然に治まっていきます。季節が秋になり、湿度と温度が下がるにつれ、白癬菌が活動できなくなって行くからです。
症状がなくなったので「水虫が治った」と考えてしまう事でしょう。しかし、再び梅雨時期を迎えると、白癬菌が活動を再開し、水虫の症状がぶりかえすのです。
冬は水虫が落ち着いていて、夏になるとぶり返すということを2~3年繰り返していると、白癬菌は今よりももっと住みやすい場所へ移動していきます。
地面と摩擦が少ない、土踏まずや足の指の間、踵の角質の奥や爪の中など。
安住の地に移動した白癬菌は夏ごとにどんどん繁殖し、やがて角質増殖型白癬や爪白癬といった重症化した状態に移行していくのです。
全身に広がる白癬菌
白癬菌は足の裏だけにとどまりません。体のあちこちに付着し、水虫の症状を引き起こします。
中でももっとも多いのが陰部にできる股部白癬です。陰部は蒸れやすく白癬菌にとってはとても住みやすい場所です。股部白癬は別名「インキンタムシ」といい、男性がかかるイメージですが、女性でも同じように感染します。
頭の皮膚が水虫になることもあります。男性のひげの生える部分にも水虫になります。
股部白癬を知らず知らずのうちにかきむしってしまうと、今度は手に白癬菌がうつります。手のしわに入り込んだ白癬菌は「手水虫」と呼ばれる手白癬に移行します。
手のひらの角質層は厚く、手水虫にかかるとなかなか治りにくくなってしまうのです。
このように、全身が白癬菌に侵されてしまう可能性もあるのです。水虫は放置せず、症状があらわれた時にしっかりと治療しなければなりません。