カビが原因の皮膚の病気:ありふれたものから命に関わるものまで
カビ(真菌)が原因の皮膚病の代表選手は水虫です。しかし、水虫によく似ているけれど実は違う種類のカビ(真菌)による皮膚病があります。よく見かけるものから、場合によっては命に関わるものまで多種多様なのです。
カンジダ症
カンジダ症はカンジダ・アルビカンスという名前のカンジダ属が原因の皮膚病です。カンジダ・アルビカンスはもともと消化器や膣などに常在している菌です。普段は無害な状態で人間の身体に住み着いていますが、何らかの原因で抵抗力が低下した時に増殖をはじめます。
カンジダ症は、発症する場所によって病型が違います。
粘膜カンジダ症
粘膜に発症するカンジダ症では、次の2種類が主なものになります。
- 口腔カンジダ症:乳幼児にみられることが多いが、大人でも感染する。口腔や舌などに白いカビのようなものが付着したり、口の左右に切れ目やびらんができる。
- 陰部カンジダ症:妊婦がかかりやすく、おりものが増え、強いかゆみを感じる。男性では亀頭部に発生する。
皮膚カンジダ症
皮膚カンジダ症には主に次の3種類があります。
- 乳児寄生菌性紅斑:おむつをつけている乳児の臀部に赤い多数の嚢胞ができる。おむつかぶれと間違えられやすい。大人でも臀部に発症することがある。
- カンジダ性指間びらん:中指と薬指の間に発赤をともなうびらんができる。水仕事をよくする女性に多い。
- カンジダ性爪囲爪炎:手指の爪の周囲が赤くはれ、爪の表面がでこぼこになり、溝ができる。免疫不全の人がかかると、爪カンジダ症を発症する。
癜風
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胸や背中、首、わきの下に丸い褐色斑や脱色素斑があらわれます。老若男女発症しますが、20代~30代の男性に多いようです。
水虫同様、春から夏にかけて発症することが多く、高温多湿の環境で悪化します。
スポロトリコーシス
スポロトリコーシスは日本ではよく見かける皮膚真菌症です。
原因菌は土壌の中に住んでいるスポロトリックス・シエンキという菌です。外で遊ぶ元気なお子さんや、農業従事者など土を接触する機会の多い人が怪我をすると傷口から菌が侵入して発症します。
ブヨブヨとした結節ができます。見かけはとても派手ですが、かゆみはあまりありません。リンパの走行にそって飛び石上に広がることもあります。
スポロトリコーシスには次の種類があります。
- 皮膚リンパ管型スポロトリコーシス:傷口から侵入した菌が肉下種性結節をつくり、リンパにそって広がって行くもの。痛みやかゆみはない。
- 皮膚固定型スポロトリコーシス:リンパにそって広がらず、同じ場所で病変が広がって行く。
- 皮膚以外のスポロトリコーシス:骨や関節で発症し骨髄炎や関節炎をおこす。口腔、咽頭、鼻粘膜、肺に侵入して発症することもある。ただし、皮膚以外にスポロトリコーシスが発症るのは極めてまれ。
クロモコミコーシス
フォンセケア・ペドロソイという、自然界に存在する菌に感染して起こります。傷口から侵入し、膿瘍や嚢腫をつくります。男性は腕や足、臀部にできやすく、女性は腕や顔にできやすいという特徴があります。
稀に脳や内臓に病変をつくるので注意が必要です。
皮膚クリプトコックス症
土壌や葉との分に生息するクリプトコックス・ネオファルマンスとう菌が原因で起こります。
クリプトコックス・ネオフォルマンスは神経系に寄生します。肺から吸い込まれて肺に病変をつくります。
肺から血液を通じて脳や骨髄、皮膚へと広がっていきます。対処が遅れると命に関わるので注意が必要です。
免疫力の低下した高齢者は注意が必要です。