虫は自然治癒することもあるのか?~「涼しくなったら治る」は自然治癒ではないかも~
かぶれなどの皮膚の変化は放置していても自然治癒します。水虫も抵抗力が強ければ、自然治癒するのではないかと思ってしまいますね。確かに、水虫が自然治癒することもあります。しかし、多くの場合勘違いのようです。
水虫が自然治癒する可能性は?
水虫は白癬菌という真菌に感染して起こる皮膚の病気です。「感染した」ということは、感染した病原体に対して人間の免疫が攻撃し、排除しようとします。そして、勝つこともあります。
白癬菌に感染し、自然に治癒したということは、よくある出来事です。白癬菌は私たちの生活空間のいたる所に潜んでいて、感染の機会を狙っています。そして実際に感染し、免疫機能によって排除されることも良くあることなのです。
しかし、私たちはこの出来事にほとんど気が付くことはありません。自然治癒する水虫は、ほとんど症状が無いごく初期の段階の水虫だからです。
自覚症状が出るくらいまで進行した水虫が自然治癒することはまずありえません。
涼しくなったら治るのは自然治癒?
「そんなことは無い。いつも涼しくなったら自然に治っている。」
そう反論する方もいるでしょう。
残念ながら、「涼しくなったら自然に治る」という状態は、「治っている」わけではないのです。
白癬菌はカビの一種です。ですから、活動しやすい環境と、活動がほとんどできない環境があるのです。
いろいろなものが良くかびる季節、つまり高温多湿の季節は、白癬菌にとっても活動しやすい環境です。カビがよく生える季節は白癬菌がよく活動するので、水虫の症状がひどくなります。
高温多湿の夏が過ぎ、カラッと晴れた晴天が続く秋が来て気温と湿度が下がってくると、カビと同様に白癬菌も活動ができなくなります。
白癬菌が活動できなければ、かゆみや水ぶくれなどの水虫の症状は起こりません。
ですが、白癬菌がいなくなったわけではありません。白癬菌は角質層の奥深くで冬眠をしているのです。
そして、気温と湿度が上がると息を吹き返し、水虫の症状が再発します。
このように、再発を繰り返していると水虫はどんどん慢性化していき、治療が難しくなって行くのです。
絶対自然治癒しない水虫は?
慢性化してしまった水虫は絶対に自然治癒することはありません。それどころか、根気よく治療を続けても完全になおすことはかなり困難になってきます。
特に、爪に感染してしまった爪水虫や、踵が肥厚してしまったかかと水虫はとても治療が難しくなります。
白癬菌が爪や踵の角質層といった固く分厚いたんぱく質の中に隠れてしまうからです。固く分厚いたんぱく質は薬が浸透しにくく、白癬菌に薬の効果が届きにくいのです。
ですが、突然に爪水虫やかかと水虫にかかることはありません。軽症の水虫を数年放置し、白癬菌の活動範囲が広がっていった結果爪水虫やかかと水虫にかかるのです。
「水虫なんて放っておけば自然治癒するよ。」と高をくくらず、早期に水虫の治療薬をぬって治療を開始してください。